疑って損をした

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疑って損をした

 啖呵(たんか)を切ってしまったエミは、なけ無しの貯金をかき集め始めた。 挙句は保険を解約までして、どうにか100万円の金を工面した。 哲也がお人好しなら、エミは目から鼻へ突き抜けた、まるで奥様は魔女である。  エミの考えはこうである・・ 哲也が保証契約した弁済金が100万円と主張するなら、それこそ、その金額を支払っておく責務がある。  それまで拒否したとなると、代位弁済を約束した保証契約そのものの契約不履行とみなされる。 それこそ、差し押さえられても、異議申し立てすらできなくなる。 だから、エミは請求書に記載の口座に、まずは100万円を振り込んだのだった。  『哲也、これで、あなたが保証したって言う、100万円の保証責務は弁済したことになるわ、あとは、700万円をどうするか哲也の腕の見せ所よね!』 「有難う・・エミて、この前ヒフミ商事と電話したときから、さらに強うなったみたいやな・・俺も気をつけんとアカンな!」  『気を付けるって⁉ 何に?』 「いや、残りの700万を5人の保証人で分けてもらえんのか? 駄目もとで、交渉してみようか思てんねん⁉」
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