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確かにフラグは揃ってる
学園ラブリー☆ラビリンス3!
学園ラブリーシリーズの第三であり、今女子高生に大人気の乙女ゲー、その最新作がこれだ。
何がすごいって、グラフィックが凄い。演出も凄い。一枚あるだけでも十分ごはん十杯いけそうな美男子キャラクター一人につき、ウン十枚もの差分が用意されているのだ。時にはアニメーション入りの特殊演出が入ることもある。
口説かれているシーンでは、ヒロインのドキドキを示すように画面が染まり、コントローラーが震える仕組み。ボイスも、選んだ選択肢ごとに聞けるものが異なるため、一度クリアしても何度でも遊べる優れたゲームなのである。
私は買って数日で、メインキャラクター十二名、サブキャラクター二十五名全てをクリアしてしまった。これから推しから順に二週目を満喫しようというところである。只今、ゲームは好きだけど乙女ゲーはやったことない、という友人のアカリにこのゲームを布教しようと頑張っているところだ。
昼休みの教室。私は熱意を熱く語り終えたところであった。
「アカリもイケメン大好きでしょ!是非ともやってみなって!ヒロインは顔も出ないしボイスもないし、口調も予め多少設定できるから……夢系苦手な人にもお勧めできるんだってー!私が二週目終わったら貸してあげるからさ、ね?」
「ふーん……」
クール系女子のアカリは、あんまり興味無さそうに説明書(兼キャラ紹介パンフレット)を眺めている。まだ熱意が足らないのか!とぐぬぬ、する私。
「いろんなシナリオあって面白いし!まずは一番の推しをさ、直感で決めて始めてみなって!やればハマる。ゼーッタイハマる!私が保証するっ!」
推しねえ、と。パラパラとページを捲るアカリ。彼女はやがて、あるキャラクターのところで手を止めて、私に告げた
じゃあこいつがいいかな、と。彼女が示したのは溝口雪雄とうキャラクターだ。別荘でドキドキデートが堪能できるかも?お金持ちのパーティに呼ばれちゃうかも?なんてスクリーンショットと共に紹介されている。
私は驚いた。このキャラクターは、財閥の御曹司で俺様、横柄に見えて時折見せてくれる優しさが素敵!嫌いだったのにどんどん惹かれるようになっていっちゃう……!という典型的なお金持ちタイプである。アカリとは小学生の頃からの付き合いだ。彼女の好きなタイプは、明るくて元気そうなキャラクターであったはず。俺様お金持ちキャラはむしろ地雷に近かった気がするのだが。
「なんで溝口クンなの?理由は?」
私が尋ねると彼女は、真剣な眼差しを向けてきた。そして。
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