確かにフラグは揃ってる

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「妄想できるから」 「妄想?」 「こいつお金持ちでしょ。おっきな別荘持ってるんでしょ?」 「まーそうね」 「むしろ島一つこいつの家の持ち物で、綺麗なビーチがあって、屋敷は豪華なシャンデリアがかかってたり専用の舞台があったりして……」 「まあ、あったかも?」 「二人で遊びに行った先……島に突如襲来する嵐!連絡が取れなくなる孤島……突然落ちる雷に停電……」 「……ん?」 「そして響く悲鳴!パーティー会場で明かりが戻ると、そこにはシャンデリアが落下し、犠牲になった彼の姿が……っ!」 「んんん??」 「ヒロインは立ち上がるの……!必ず彼を殺した犯人を私が見つけて見せる!犯人はこの中にいる!真実は多分一つ!婚約者の名にかけて、必ず真実を突き止めてみせるとっ!」 「んんんんんん???」 「そして、最後に明かされる衝撃の真実……。実は御曹司を殺したのはヒロイン自身!ヒロインは御曹司の親に父を殺された恨みで、ひそかに復讐を果たすべく御曹司に近づいた暗殺者だったのです……!血にまみれて高笑いするヒロイン、殺戮の孤島、助けは誰も来ない……っ!……ってとこまで想像したらめっちゃ楽しかった」 「待て待て待て待て!?」  あの、これ恋愛シュミレーションゲームなんですが。  攻略対象殺してどーするんでしょうか。  ていうか、ヒロインの設定がヤバすぎるんですがどっから沸きましたか。 「まさか、溝口君を選んだ理由って……」 「孤島ミステリできそうだったし、殺しても罪悪感なさそうだったから!」 「帰れ!」  私は誓った。こいつに恋愛シュミだけは貸してなるものか、と。 ――溝口クンいい子なのに!いい子なのに!こんちくしょう!  でも確かに、御曹司に招かれるお金持ちのパーティとか陸の孤島っていろいろフラグではある。ここで名探偵まで揃っていたら、殺人事件が起きる未来しか見えないような、なんて。  そんなことをも思ってしまった私だった。
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