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目が覚めた・・・真っ暗。息が苦しい、体が動かない・・・金縛りか?
必死にもがいてみるが、1ミリも動けない。助けを呼ぼうにも声も出ない。木材とお香の匂いがする。この状況は・・・もしかして、仮死状態で棺桶に入れられているのではないか?
とにかくこのままでは、極めてまずいことになりそうだ。もがき続けていると、ふっと力が抜けて、ス〜ッと体が宙に浮いた。おそらく棺桶の蓋であろう木の板を突き抜けて、外に出た。いわゆる幽体離脱というものだろうか。棺桶と花輪が見えるが、部屋には誰もいない。
トイレから水が流れる音がした。花輪の後ろに隠れて様子を伺う。トイレのドアが開き、白いスーツ姿の若い男が現れる。巻き毛の金髪、なかなかの美青年である。頭の上にぼんやりと金色の輪が光っている。
「えっと・・・1059-2-15 、1059-2-15・・・あ、これかな?」
白い男は、棺桶に近づくと、鞄からタブレット端末とバーコードリーダーのようなデバイス(スーパーのレジにある、あれ)を取り出し、棺桶の蓋に当てた。
「『読み取り』っと。(ピロン!)1059-2-15・・・間違いなし。さぁ、天国に行こ〜!」
ちょっと、待ってくれ!まだ死んでない!・・・だが叫ぼうにも声が出ない。
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