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大勢の魔法使いたちが、戦いの犠牲になった。
そんな中、戦えないものたちのために仮設住宅を召喚し、そこに疎開させて、自給自足の道を説いた魔法使いもいた。
仮設住宅で自給自足の生活を始め、少しずつ暮らしが軌道に乗り出した頃、その魔法使いは「町に戻ってみよう」と提案する。
そんな魔法使いたちが目にしたのは、召喚した武器や兵士らによってめちゃくちゃにされた建物と、屍の肉を漁るジャッカルや、空にはカラスが飛び交っている、正に地獄のような光景だった。
魔法使いは気が狂いそうになった。
国のために召喚したものが、すべてを壊しすべてを奪う羽目になる。これが王さまのやりたかったことなのか? これが自分のやりたかったことなのか? 召喚魔法はこんなことのために作られたのか。
自問自答したが、魔法使いは、どうにか廃墟と化した町を復興させるべく、今一度、召喚魔法を使うことを決意する。
召喚魔法で壊してしまったものを、召喚魔法で復元させるため。
こうして町という町を練り歩きながら、召喚魔法で復興に導いていったが、復興出来なかった町は「遺跡」となって留まることになった。
こうして出来たのが、現代の町と村である。
その魔法使いは、こういうことばを残している。
「召喚魔法でひとは召喚できるが、失った家族や友人を、取り戻せるわけではなかった」と。
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