クローズ・ド・サークル村

42/122
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/122ページ
 「ゾンビさん、デザートも食べたいよね」  続けて、数粒のいちごを串で刺したものをスケッチブックに書くと、白とうすい水色で水飴を作り、書いたいちごの上にまんべんなく塗っていく。  「いちご飴の完成っ! ゾンビの皆さん、レストランサラサ開店ですよ」  サラサが声をかけると、村のあちこちからゾンビ状態のネコが数匹やって来た。追いかけるように村にいるゾンビたちが、料理にゆっくりとにじりよってくる。  「食べ物の臭いがする」  「コロッケの山がある」  「いちご飴も、ある!」  「いらっしゃい。て、たくさん来たけど料理足りるのかな?」  東の国では、死んだひともご飯を食べると聞いたことがあるか。こんな感じなのかとサラサは思いながら、ゾンビのバイキングの様子を眺める。 ここにカズカがいれば飲み物を召喚してくれるだろうし、カキコがいれば食器を召喚してくれるだろうが、帰ってくるまでは自分一人だ。 それまでゾンビたちを食い止めなくては。サラサはそう思うと声をあげた「ご注文承ります!」
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!