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翌日、太一はロロオをやることを教師に伝え、その日から練習が始まった。
台本は児童たちが作り上げたが、それに教師を手を加え太一の台詞を多くした。教師も知っている。この学校で一番努力しているのは太一だと。
「太一!声か小さい!」
「太一!そこはもっと動き大きく!」
だからこそ太一には厳しく当たる。太一の努力は必ず実を結ぶと。
太一も毎日ヘトヘトになりながら喰らいついた。誰も太一を馬鹿にしたりはしない。馬鹿になど出来ない。努力を信じる太一を馬鹿になど出来ないのだ。
学習発表会前日、最後の通し稽古。全員で卒なくこなしたあと、太一は一人、そこに残った。みんなが帰った体育館。太一はぼんやりと天井を眺める。
そこに愛がふらりと現れた。
「太一何やってるの?」
「うん。考えてたんだよ」
「何を?」
「どうして、みんな僕を選んだんだろう。勉強も運動もできないしカッコいい訳でもないし、稽古でも僕が一番叱られたんだよ?」
「ふふ。それはね太一がチャーリー・ブラウンだからたよ」
「チャーリー・ブラウン?スヌーピー出てくるやつの?」
「そう。どれだけ馬鹿にされても努力をやめない努力の天才チャーリー・ブラウン」
「あはは……」
つい力なく笑う。
「努力の天才かぁ。いいなぁ」
「いいでしょ?みんな知っているんだよ。太一が努力の天才なのをね」
「うん。僕がんばる!」
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