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八
——カッカッカッカッカッ
二匹の雄竜が倒れてまもなく、崖上から、音が響いた。
白銀竜が、首を高く伸ばし、上空に向かって、牙を打ち鳴らしたのである。
それは、二匹に対する、喝采のようであった。
観覧者達も、つられて歓声をあげた。
結果は相討ちだけれども、二匹の奮闘を、讃えずにはいられなかったのだ。
ただ、これは、あくまで女の取り合いであったはずだ。
白銀竜の眼鏡にかなうかを示す戦いであったはずだ。
ならば、この場合は、どうなるのか。
白銀竜は、満足げであるが、倒れた二匹をどうするのか。
観覧者達は、賞賛もそこそこに、今度は白銀竜の動向に注目した。
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