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神々しささえ感じるその姿に、騎士達は、思わず感嘆の声をあげた。と同時に、おそるべき死闘を覚悟した。 あの神々しさは、姿形の美麗さのみに依るものではない。 無論、大きな傷痕のないことは、怪我を負わぬだけの技量や頑健さを持つか、あるいは傷痕も残らぬほどの回復力があることを示しているが、肝心なのはそこではない。 王者の風格。 その佇まいには、傑物のみが持ち合わせるであろう、堂々たる風格があったのだ。 驕りではなく、侮りでもなく、重ねてきた経験に裏打ちされた確固たる自信から滲むもの。 四本の足を投げ出して尾先を遊ばせる様さえ、敵になるものがいないことを、知らしめるかのようである。
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