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そうした、異様な興奮の中、ついに、二匹は限界を迎えた。
互いに、相手の頭部を、尾で打ちすえたのである。
おそらくは、どちらも、不意打ちを狙ったのだろう。
地上で取っ組み合いになってからというもの、尾はほとんど遊ばせたままだったが——唐突に相手へと襲いかかったのである。
それが同時だったものだから、どちらも、対処のしようがなかった。
互いに横面を強か打たれて、両者とも、地べたへ倒れこんだ。
地に伏した後、二匹は、わずかに首をもたげると、崖上に向けて、か細く、一声鳴いた。
そうして、ほとんど同時に、意識を失った。
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