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ここで仕留めなければ、国をも滅ぼしかねない。それほどの怪物——
騎士達の緊張は、未だかつてないほどに高まった。
が、騎士達の恐れは、全くの杞憂であった。
なぜならば、この白銀竜の目当ては、人畜を漁ることでも、国を焼き払うことでもなかったからである。
白銀竜は、すでに騎士達の存在に気づいているようだったが、ただ一瞥したのみで、何をするわけでもなく、視線を戻した。
強いて言うのであれば「なんだ、人間か」とでも言うような、全くの無関心。
はじめは、あえて気の無い風にみせる罠かと、騎士達も警戒したが、次第に、罠でも何でもないのだと判断せざるをえなかった。
白銀竜の心は、ただ、その眼下にのみ注がれているようだった。
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