SCP-2316「校外学習」

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SCP-2316「校外学習」

【最初に】 今回紹介するのはSCP-2316「校外学習」。 認識災害を起こすタイプのオブジェクトです。 オブジェクトクラスは堂々のKeter。 解説の前に……お使いの端末のマイクに、ゆっくり、はっきりと次のフレーズを繰り返してください。 『私は水中の死体に見覚えがありません。』 では、解説を始めましょう。 【概要〜特別収容プロトコルについて〜】 まずは、このオブジェクトに適用されている特別収容プロトコルについて説明しましょう。 SCP-2316の収容プロトコルは非常に厳重で、いついかなるケースに置いても直接的な接触は禁じられています。 監視は映像および音声の記録装置を備えた遠隔操作のダミー探査機でのみ実施されます。 さらにSCP-2316の映像および音声の見直しを実施できるのは、認識災害への曝露に対する適切な処置を取った職員のみ、とまで徹底されています。 このオブジェクトが存在する湖は、隔離された状態で周囲にフェンスを構築してあり、SCP-2316に曝露した経験が無く特性についての事前知識も持っていない人物が定期的にパトロールを行うことになっています。 ここで、読んでいる方に一応言っておきます。 あなたは水中の死体に見覚えがありません。 この試行済みの隔離措置を突破しようと試みる人物は捕縛。 完全な認知影響スクリーニング検査のためにサイト-33へ連行されます。 加えて、SCP-2316が収容されている湖の50m以内に接近した人物は既に死亡した者と見做すという手の込みようです。 どうしてそこまで厳重にするのかって? 詳しいことはこのあと教えます。 【概要〜水中の死体に見覚えがありません〜】 どんなSCPかと言いますと、端的に言うと、『とある湖の水面と水中に出現する10代の少年少女たちの死体の群れ』です。 怖いですよね。湖に死体が浮いてるし水中にも死体があるし。 ですが、死体よりも怖いものがいるのがSCP財団です。 本部が確認しただけでも、クソトカゲとか植物性のものは全て腐敗するアラブ系のおっさんとか瞬きしたら即死亡の奴とか死そのものとかポ◯モンじゃない方のKeterクマとか石棺から出てきて無差別殺戮を繰り返す奴とかいます。 日本支部でも、認識したら即破滅の鳥さんとかねことかこの世で最も恐ろしい道路標識とかそういうのがあります。今更死体で驚くようなことはありません。 とはいえ、このオブジェクトは前述した特別収容プロトコルにあるように、財団の頭痛の種『認識災害』を引き起こします。 出現するときは、水面に小さく固まった人間の死体の群れ、という形で出現します。 死体の身元は一応わかっているのですが、DNA鑑定が確実なものではないですので、確かなことを言うことはできません。 さらに、『複数の実体の群れに見えるが、実際には集合意識で活動する単一の実体ではないか』という意見もあります。 私は彼らが誰だか知ってます。彼らの名を知っています。一人一人、全員の名前を。貴方だってそうでしょう? ちなみに現在のところ、財団では各実例を個別にわけることはできていません。あなたは水中の死体に見覚えがありません。 ジェレミア・ファインマン、アーサー・スコット、デニス・クラーク、ハー[認識災害につき除去されました] ……失礼しました。認識災害に遭っていたようです。 先ほども述べましたが、SCP-2316は認識災害をもたらします。 強力で、広範囲にわたっています。 ……ここでいう「広範囲」は皆様の考えるそれとは意味が異なるようですが、ね。 この死体の群れを見た時、その人物が実体群のうちいずれかに覚えがある場合、またはかつて特定の団体(データは削除されている)に属していた過去がある場合、その人物は簡単に言うと、死体となっている実体群を昔からの知人・友人だと強く思い込むようになってしまいます。 湖に入る、SCP-2316に触れる、といった形でSCP-2316との接触を試みた場合、そのアクションが他のSCP-2316の出現を引き起こしてしまいます。 追加の実例は認識災害の強化と確信のみを引き起こし、影響者に湖への入水を強制させます。 しかも、このようにして湖に入った人物は消失し、今日まで回収されたことはないという状況です。 つまり、SCP-2316は感染型+増殖型のSCPオブジェクトです。 精神にダイレクトアタックを決める感じのオブジェクトだと思ってくださるとわかりやすいかと思います。
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