そして…グリーンの雨

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 まず、利用者の体調を車のAIが判断するため、スイッチにもなっているこのカードをリーダーに入れて、ハンドルを握る必要があった。  ハンドルのセンサーにより、握り方や脈拍数・体温から、乗車に適しているか判断するのだ。  もし体調が基準から外れている場合、AIの判断によっては、車が動かなくなる場合もあった。  またペダルはブレーキのみで、走行スピードはAIとシフトレバーで調整する仕組みだ。  行き先の情報は、タブレットから車両のAIが受信して登録される。  車両自体がスタンバイし、交通情報を受信しながら、最も効率的な行き方で 目的地まで運んでくれるという訳だ。  田島がハンドルを握って数秒後、フロントガラスに、 『バッテリー等、問題なしです。では出発しますか?』  という文字表示と音声で知らせる。田島は即答で、 「OK、出発!」  車両のフロントガラスがスーッと透明になり、快調に発進すると、第5別館の地下パーキングを後にした。
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