28人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
まず、利用者の体調を車のAIが判断するため、スイッチにもなっているこのカードをリーダーに入れて、ハンドルを握る必要があった。
ハンドルのセンサーにより、握り方や脈拍数・体温から、乗車に適しているか判断するのだ。
もし体調が基準から外れている場合、AIの判断によっては、車が動かなくなる場合もあった。
またペダルはブレーキのみで、走行スピードはAIとシフトレバーで調整する仕組みだ。
行き先の情報は、タブレットから車両のAIが受信して登録される。
車両自体がスタンバイし、交通情報を受信しながら、最も効率的な行き方で
目的地まで運んでくれるという訳だ。
田島がハンドルを握って数秒後、フロントガラスに、
『バッテリー等、問題なしです。では出発しますか?』
という文字表示と音声で知らせる。田島は即答で、
「OK、出発!」
車両のフロントガラスがスーッと透明になり、快調に発進すると、第5別館の地下パーキングを後にした。
最初のコメントを投稿しよう!