そして…グリーンの雨

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 田島は、バッグからスーパーホログラフィー装置を取りだした。  この装置は、本部のスーパーコンピューターと直結していて、平成からの全ての国民の画像データーが再現できる上、動画として加工・編集もできるという優れ物だった。 田島は、そのスーパーホログラフィー装置を 佐竹老人の前に置いてから、 「佐竹さん、奥様の生年月日をお願いします」  老人は、少し考えながら答えた。  田島は、タブレットで佐竹昭子のデーターを呼び出すと、その動画情報を 本体に転送した。  その瞬間、佐竹老人の前に身長三十センチほどの昭子の動画が現れた。 「おー、昭子……」 「佐竹さん、奥さんの身長、もっと大きく、等身大くらいでも出来ますが、どうしましょう?」 「いや、こんなんでいいですよ。あいつは、わしと同じくらいだったから……」 「了解です。では……」  田島はキーボードを使って、昭子の動画像に言わせたい文句を入力する。 『あなた、お久し振りです。お元気そうですね』 「あー……昭子……。久し振りで……」 『はいはい。やっと、ニューG地区への移住を決断してくれて、本当に良かったですわ……』 「ん……ん……。昭子……待たせて、すまんかったな……」  佐竹老人は涙を流していた。 『じゃ、あなた、ニューG地区で待ってますね』  スーパーホログラフィーで出現した昭子は、老人に向かって会釈すると、スーッと消えた。
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