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取り敢えず予告状にあった隣街の記述はヴィルトワのことで間違いないだろう。
問題は怪盗がこの街のどこのお店に来るか。いや、正確にはどこに来るかの方がいいだろう。
理由は簡単だ。店に来るとは決まった訳ではないのに決めつけていたら盲点を突かれてしまう可能性があるからだ。
この街で怪盗が来そうな場所…………
様々なアクセサリーを扱う店、時計屋、それから…………
宮殿。
これくらいだろうか? 最後に言ったこの街の宮殿、トゥマロス宮殿では毎年国の前途を祝福するパーティーが開かれる。丁度もうすぐ開かれる時期になるのではなかっただろうか?
だとしたら宮殿の可能性が高い。何せトゥマロス宮殿には国宝級の宝が保管されている場所がある。宝は細かい装飾が施されたブローチ。小さいため、怪盗なら簡単に盗めてしまえそうだ。
だとしたらパーティーの当日に見張っておく必要がある。とは言っても宮殿のパーティーだ。身分の高いもの達しか入れないので、信じてもらえるかは分からないが事情を話して入れてもらう必要がありそうだ。
この結論をソフィーお姉さんに話して交渉を手伝ってもらえれば手伝ってもらおう。
「あのね、ソフィーお姉さん。もうすぐトゥマロス宮殿で開かれるパーティーに調査に行きたいんだけど――――」
――――コンコンッ――――
事務所のドアをノックする音。…………、そういえば表に掛けてある営業中のプレートを準備中にするのを忘れていたような…………!
取り敢えずドアを開けて、お客さんを中に通さなければ。ソフィーお姉さんには少し待っててもらって…………
って。考えてる時間があったら早くドアを開けないと。
立ち上がり、ドアの前へと急ぐ。そして、深呼吸を数回してからドアをゆっくり開けた。店の前にいた人物の姿が露になる。
その人物は……―――――
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