仕事を見つけた小さな探偵

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❈・❈・❈・❈ 「…………」 「あぁ……今日もお客さん、来ないのか……」 私は一人、深くため息をついてそう呟いた。 思わず机に突っ伏す。その姿はまるでだらけている猫の(よう)だと自分では思う。 …………。 今の私はもう、店番をしている最中の人の体勢ではない。 そうとは分かっているが……姿勢を正す気はない。 今日だって、きっとお客さんからの探偵の依頼なんて来ないだろうし、そもそも誰も入って来ないだろうし…… もういっその事、今すぐにでも今日の営業は終わりにしたいと思っている位だ。 ふと事務所の窓を見ると茶髪のくせっ毛で、ドレスワンピースの上に茶色いポンチョを羽織り、やる気がなさそうにカウンターに突っ伏す少女の姿が映る。 気力が尽きたと同時に帽子を外した頭は案の定ぼさぼさになっていた。その少しおかしな姿に思わず苦笑いする。 一人寂しくくだらないことをしていると、事務所の入口の方から足音が聞こえた。 お客さんが来たのだろうか……? だとしたらこんな体勢を見られたら不味い。 急いで体勢を立て直し、お客さんを出迎える準備をする。 ついにドアが開く。 自然と表情が強ばる。 約三週間ぶりのお客さんの来店だから、緊張しているのだろう。 そして私は入口の方に向かって言う。 「いらっしゃいませ!」
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