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入学式
朝
「アオ おはよう」
「…」
布団を剥ぎ取られ
「起きて」
私のお腹の上に 瑞久が座って乗る 今日は体重をかけられ
「うっ…ううぅ…っ……」
腹筋を使い起き上がり 瑞久の脇腹に手をやって
「キャッ」
勢い余って反転したから 身体が半分覆い被さってしまい 瑞久の首筋に顔を埋める
いい匂いがする
胸いっぱいに吸い込み
ハァ~
「イッターッ」
頭を叩かれ
姉
「襲うな 馬鹿
瑞久ちゃん 大丈夫?」
「…はい」
瑞久を解放して
「おはよ」
「…おはよう」
姉の楓 高校3年
「瑞久ちゃん 蒼を甘やかさないで 叩いて起こしていいよ」
なんてひどい姉だ
こんな か弱い妹に向かって
なんて言ったら また頭を叩かれるから言わないけど
「お姉ちゃん 学校は?」
「あっ 瑞久ちゃん 行こう」
「はい」
今日も 抱き心地良かったなぁ 瑞久を抱き締めてたらずっと寝れそう
1階へ
「お母さん おはよう」
「おはようじゃなくて おそようよ
蒼 早く食べて 用意しなさい」
「はーい」
母(栞)は看護師で 介護老人福祉施設で働いている
今日は遅番かな?
入学式だから
8時15分に家を出れば間に合う
今は 7時前 余裕やん
何でそんなに急かすんだ
もう一度 時計を見て
えっ 8時
ヤバッ 早く食べて 用意せな
玄関で 瑞久が待ってくれていて 一緒に自転車で学校へ
正門を抜け 新入生は 右側の自転車置き場へ
校舎前に貼り出されている クラス名簿を見ていく
8組まであって
3組に 瑞久の名前があった
「アオと離れた…」
「帰りは一緒に帰ろうな」
「…うん」
私は…あった7組か
「またなぁ」
教室へ入ると
知らない子ばっかりだな
出席番号 2番 廊下側の2つ目の席へ座る
前の席の女子が振り向き
「私 井川 杏奈 宜しくね」
「宇良戸 蒼 宜しく」
後ろの席の男子が
「俺 大塚 拓斗 宜しく」
「宜しく」
井川
「蒼ちゃんって呼んでいい?」
「蒼でいいよ」
「私も 杏奈で」
「俺は?」
杏奈
「拓斗でいいんじゃない」
「おう 蒼 杏奈 宜しく」
すぐに仲良くなった
入学式の為 整列し体育館へ向かう
三人で話しながら廊下を歩く
教頭の言葉から始まり
校長の挨拶
そして 瑞久が新入生代表の挨拶をするのに 壇上へ
おぉ やっぱり瑞久は凄いんだ
隣の席の杏奈が
「綺麗な子だね」
拓斗が
「うん 頭も良くて綺麗って最高だな」
「私の幼馴染」
杏奈
「えっ そうなの?」
拓斗
「マジで! 紹介して」
「嫌だ」
拓斗
「何で?」
「拓斗は チャラいから」
杏奈
「確かに」
「俺は 真面目だぞ」
「…」
「…」
拓斗
「おい 聞いてるのかよ」
「瑞久が話すから黙って」
いつも優しい瑞久と違い 凛とした姿を見て なぜかドキドキしていた
読み終わり 壇上から降りて自分の席へ戻る瑞久を目で追って
カッコ良すぎだろっ
式が終わり 教室へ
担任が来た
男の先生 30代ぐらいかな
「担任の中尾だ 宜しく 今からプリント配るから後ろへ回して」
明日からの予定と時間割が書かれていた
色々と説明しているのを なんとなく聞いていたら 担任が それでは終わりますと言った
案外早かったな
挨拶をして解散
杏奈
「蒼は 電車?」
「ううん 自転車」
拓斗
「俺は 電車」
杏奈
「えーっ 拓斗と一緒に帰りたくない」
拓斗
「そんな事言うなよ」
杏奈
「蒼 またね」
「じゃ また明日」
拓斗
「おう またな」
手を振って
言い合いをしながら二人は帰って行き
同じクラスで 気の合う友達が出来た
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