再戦

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 話し合った結果、俺達は次の条件を出すことにした。 1撮影会場はライブハウスにして、バトル内容は生放送とすること。 2審査する人間は、撮影を行う当日のライブハウスのお客とすること。撮影を行う事については、その日のお客には秘密にすること。 3審査方法は、お互いのライブ終了後、お客が其々のバンドに投票を行う。お客が投票するシーンを中継すること。 4勝負内容は、課題曲を演奏するのではなく、お互いがオリジナル曲を何曲か演奏するライブにすること。 5演奏は『敗北者』が先に行うこと。  この五項目が了承されるなら、受けると、留依に返信をしてもらった。  前回は舞い上がってしまった所もあったが、今回はそうはいかない。公平かつ平等な土俵でなければ、戦わない。出来レースに乗るつもりは無い。  ただ、これだけの項目をちらつかされたら、向こうが断ることも考えられる。  それは、それで構わない。  他に声を掛ければ良い。乗って来るバンドはいないと思うけどな。  そんな考えを頭の中に蜘蛛の巣のように張り巡らせていたら、留依から連絡が入った。 『野地さんは、こっちの条件を飲んだよ。後、こんなお知らせがきたね。』  留依が野地さんからのお知らせを張りつける。 『敗北者が出演をしたことの無いライブハウスを使用します。撮影を行う事は当日のお客さんには当然、極秘とするので、撮影はその日のライブ終了後に、一気に行います。準備の方をよろしくお願いします。詳細については、後日、連絡をします。』 『準備をよろしくか。思いっきり上から目線できやがったな』 『全くだな。今の俺達には怖い物なんてないのが、分かっていないな』  丈二からの返信がくる。 『軽く行くよ~。何時もの通りで。(笑)』  留依からは、思わず力が抜けきってしまうようなコメントが入る。  向こうの必死さを笑いながら、肩の力を抜いて挑むくらいで良いのかもしれない。だが、今度こそ、コンピューターサウンドを粉砕してやる。 風が吹き込み、突然燃え上がる残り火のように、そんな気持ちが顔を出してくる時もあるが。  適度な緊張感もあった方が良いだろう。前回と違う所は、今回の企画は、俺達が楽しむと言うことだ。  ピリピリとした緊張感に溢れた空気を作り上げる役は、コンピューターサウンド側に任せることにした。  そんな想いを巡らせていたら、留依から連絡が来た。バトルは一ヶ月後、野地さんの指定するライブハウスで行うことになった。  演奏曲数は二曲。セッティングについては、ある程度、時間を掛けても構わないとの連絡だった。  確かに俺達が一回も使った事が無いライブハウスだった。最も、俺達は結成してから、ライブは何時も同じ場所でやっていたから、俺の知り合いの例のライブハウス以外は、全てが始めてになることを想い出したら、妙に笑えてきた。
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