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どうしていっちゃったんだろ!? なんで今コクっちゃったんだろ! どうして、どうして、どうしてぇ~!?
こっちの気持ちをなかなかわかってくれない先輩に対する、激しい憤りから!?
心身ともの疲労感が起こす、自身では抑制することのできない興奮状態から!?
それとも、深大寺が発散するスピリチュアルなパワーがそうさせたの!?
「どういう意味?」
と、先輩はポカ~ン顔を見せている。
ポカ~ン顔でも、かっこいい。……いや、今そんなこと感心してる場合じゃない!
思いがけず、いきなり精神高揚モードに突入してしまったあたしは、よくわからない文法を使ってしまったのかもしれない。
「いえ……ですから……あたしと……結べたらなと……縁を……先輩と……」
また、間。
「……なに?」
ああぁ~、より一段とわけわからないことを~!
恥ずかしさが、途端にあたしの首を直角に垂らして……。
だが、とり急ぎこの状況を打破しなくちゃ、本日のデートの先には進めないっ!
地面の敷石を見つめながら、死に物狂いで打開策を考えた。―――が、
まったく出てこな~い!
どうする伊関!? どうする由子!? どうするあたし!?……ええぇ~いっ!
「好きなんですけど、先輩がっ!」
力任せに顔をあげた。
ありきたりすぎて、なんのひねりもなくて、古臭い学園ドラマの台詞みたいだけど、自分の気持ちを一番素直に、なおかつシンプルに伝えられる、非常に便利で、意外と素敵なその言葉を送り出すしか、結局方法は見つからなかった。
―――「けど」だけ余計だったけど、恥ずかしさを隠すための無意識の抵抗だったと思われますので、許してください。
すると、
「……本当に?」
先輩はぽか~ん顔をもとに戻していった。
こっちの告白が疑問符つきで返されたことに、素直なあたしの心は、またいらつきの炎を点火してしまい、
「こんな大切なこと、嘘つくわけないじゃありませんかっ! 本当です! 先輩がいるからこのサークルに入ったんだし、小道具係にも立候補したんですっ!」
バカ正直に、告白第二弾をぶつけてしまった。
「……すごいな」
それが数秒後の言葉だった。
告白の返答で「すごいな」は……おかしくないですか?
「俺にはとてもできないな」
といって本堂に向き直った先輩は、
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