一話 ヤンキー君は王子様な超国民的人気アイドル!?

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「あー彼は……」 「理事長、しっ」  先生たちが慌てて理事長の口を塞ぐ。  理事長は何かいいたげに私を見ている。 「?」  (何か隠してる?)  しばらくして、先生たちから解放された理事長は語り出す。 「でも、黒野君にはどうせ頼まないといけないでしょう?」 「そうですけど! 人目を気にしてください、理事長。あの子のことはトップシークレットなんです!」 (なんなの?)    あたしに頼みたいこと? なにそれ?  ぎゃあぎゃあ騒ぐ担任と理事長。おじさん二人で目立ちすぎ。しかも他の先生は空気になって役に立たないし。せめて止める努力はして欲しいんだけど……?  まったくもう。呆れてしまう。  ここにいるだけ時間の無駄になる気がしてきたわ。 「予習したいんで、先に行きますよ」  あたしは赤い唇を動かし言った。
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