18人が本棚に入れています
本棚に追加
「あー彼は……」
「理事長、しっ」
先生たちが慌てて理事長の口を塞ぐ。
理事長は何かいいたげに私を見ている。
「?」
(何か隠してる?)
しばらくして、先生たちから解放された理事長は語り出す。
「でも、黒野君にはどうせ頼まないといけないでしょう?」
「そうですけど! 人目を気にしてください、理事長。あの子のことはトップシークレットなんです!」
(なんなの?)
あたしに頼みたいこと? なにそれ?
ぎゃあぎゃあ騒ぐ担任と理事長。おじさん二人で目立ちすぎ。しかも他の先生は空気になって役に立たないし。せめて止める努力はして欲しいんだけど……?
まったくもう。呆れてしまう。
ここにいるだけ時間の無駄になる気がしてきたわ。
「予習したいんで、先に行きますよ」
あたしは赤い唇を動かし言った。
最初のコメントを投稿しよう!