かいだんばなし

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かいだんばなし

階段が好きだ 階段から見える景色も好きだ 一段昇るだけで景色は変わる 世界は広く遠くなる 少し偉くなった様な気がしたり 世間から見放された様な気がしたり 二段下りれば景色は変わる 世界は近づき狭くなる 落ちぶれた様な気がしたり 認めて貰えた様な気がしたり たかだか一段二段の景色の違いに そんな事を感じる自分を 凄いと思ったり 情け無いと思ったり 一喜一憂する自分の矮小さを 堪らなく気持ち悪いと思ったり 手摺は金属製の細い柵状の物が好きだ 隙間が多くすり抜けられそうな 危うさを含んだ柵が良い そこから自分の何かが溢れて行く様を 上から眺めてみたいのだ ステップに安いアルミニュウムの滑り止めが欲しい 雨に濡れた階段を より頼りなくしてくれるだろう 足を滑らせ転がり落ちれば 世界もきっとガラガラと転がり崩れる U字階段も良い 踊り場のあるやつだ 下を見下げれば、屈折して来た自分を見る様な気分に成れる 上を見上げれば、これから歪んでゆく自分を見た様な気分に成れる 階段が好きだ まるで人生を表す様な あの構造を愛して止まない
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