風流ごっこ

1/1
前へ
/264ページ
次へ

風流ごっこ

結構広めな自然公園の 子供が遊べるようにと 人工的に作られた 小川のせせらぎを覗き込む コンクリート仕立ての川底は 足を滑らせないようにと 枯山水の玉砂利に似た 斑紋を彫り込まれている 八月の糞暑さの中 水遊びをする子供もなく 涼もうと突っ込んだビーサン履きの 俺の逞しくも貧素でもない足に 乱暴に散らされたと思われる 千切れた深緑の木の葉が 絡みついて離れない 浅瀬の流れは流石というか 致し方無いというべきか もしや体温よりも高いのではと 疑うような温さだった 背中側すぐ近くの木々から 情緒を崩壊させる蝉しぐれ 水面から足を引き上げ 滴る汗とともに 水滴を手ぬぐいで拭き取る 風流ごっこをしている俺の 頭の中身と言ったら 結局の所は 真っ赤なシロップのかかった 粗野なかき氷への渇望だった
/264ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加