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手紙の文字
友に近況を連絡しようと
日頃使わぬ便箋を手に取る
よく云うミミズののたくった様な
下手くそな文字を書き連ね
まぁ読めれば良いのだと
自分に言い聞かせた
習字といえば小学校で
ほんの触りをやった程度で
文字を習うと言うよりも
毛筆の持ち方動かし方を習った程度
書道どころか習字と言って良いのやらも
甚だ不明瞭だった
そうだ文字は意味を伝える物だ
読めて意が伝われば良い
せいぜい習字の触り程度で良いのだと
開き直ってペンを進める
書道ともなれば習字と違い
道となる
道とは作法だ
作法は剣で説明するほうが早い
剣術は剣を使う術
剣の使用目的は
単純な話人を殺すことだ
剣術とは人を殺す技術だ
剣道は剣の作法だ
剣をより効率的に美しく
使いこなすための作法だ
人を切る事そのモノに作法は要らない
生き残りたければ術があれば良い
文字も同じだ
意を伝えるために書くならば
作法は必要なかろうと
俺は適当な理由を捻り出し
友に手紙を書き送る
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