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家庭崩壊 父の門出
今、自宅のリビングダイニングという
最も寛げるべき場所で
私は土下座の最中だ
目の前には二十年連れ添った妻がいて
ソファーに座り私を睨み付けている
済まないと思っているが
私には守るべき家族がいる
新しく妻になる人と
彼女の中に芽吹いた私達の子供だ
怒りも不満もあるだろうが
長年連れ添った機微で
きっと離婚してくれるだろう
そもそも妻が娘と仕事にかまけ
私を蔑ろにし始めてから
五年も耐えたのだ
娘の塾や習い事の費用のために
パートを始め 社員に登用され
役職に付き 残業をした
Yシャツの洗濯がクリーニングに成り
当然アイロン掛けもハンカチ程度
手作り弁当が社員食堂に変えられた際の
あの惨めな気持ちは耐え難かった
何かある度に娘のためだと
仕事を増やし家事を疎かにする
そんな妻とそれに甘える娘に
いい加減に疲れていた時
恋人に踏みにじられ
苦しむ彼女は私と同じに見えた
足りない物を補い合うように
寄り添ったことに後悔は無い
今日この場を乗り切って
新しい家庭を築き
在るべき幸せを手に入れるんだ
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