依存

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依存

自分が冷たい人間だと 気が付いてしまった時 甘えたがりの舐めた人間だと 気が付いてしまった時 臆病な卑怯者だと 気が付いてしまった時 身の置所を失った 愚かだと指をさされ 欠点を論われ 真っ当になれと責められ 優しくありたいと願った 優しくあろうと人に接し こうして欲しいのだろうと予測し 喜ばれるように行動しても 想定外の反応に疲弊する 苦しくても許し悔しくても笑い 時間と心を貪られながら それでも理解できない 優しさと呼ばれる感情に 悩み振り回されながら 得られた物は友情という名の依存で 生活の中に侵食し 日常を探られ 覗こうとスキを伺う 止めて欲しいと距離を取れば 『ゴメンナサイ』と謝りながら ほとぼりが冷めるのを待ち 何処までならば奪っても良いのかと 境界線を引くことに勤しむ 守りを緩めれば押し込まれ 停戦地帯だけが厚みを増してゆく 擦り切れて癒える事無く ジュクジュクと膿みゆく感情に 安定剤と呼ばれる 消毒液をぶち撒けて また孤独に救いを求め 友を切り捨てる
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