優しさに病み闇

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優しさに病み闇

最近元気のない友人を励まそうと 悩みの原因を聞いて見たら 単なる義実家との確執かと思うような そんな話から始まった 独身時代彼女は後の夫となる恋人に 「私の親を大事にしてくれない人の 親を大事になんて出来ないからね」 そう言い聞かせてから結婚したと言う 確かに私もそう思う 私の実家に行きたがらず 自分の実家ばかりを優遇する夫 そんな夫の両親を敬える筈もなく 夫の実家とは距離を取っている 話の途中までは 彼女もそんな状態なのかと思い 同情も共感もしたていたら 話が進むうちに 我が家とはかなり事情の違う 特殊な悩みが滲むように出てきた 「夫が優し過ぎる」 それが悩みになるのかと聞いていたら 事態は意外に深刻で 彼女の夫が純粋に誠心誠意 彼女の親を大事にしているそうで 「どうしよう 私は彼の両親を そんな風に大事に出来ない」 自分の突き付けた要求に 自分は答える自信がないと なんとも身も蓋もない 私も彼女ももう若くはない 親の介護もすぐそこに来ている 夫の親を自分の親のように 介護する自信がないから 夫の優しさが辛いらしい 贅沢といえば贅沢だけれど 自分と夫を比べ 己の優しさの欠如に気が付いてしまった 彼女の内面のザワつきに 励ますどころか慰める言葉も見つからない 我が家のように 冷めきった関係もどうかと思うけれど 夫の優しさが辛いだなどと 矢鱈には愚痴も言えない悩みに 病み衰える人の心の闇を見る
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