妄想劇場

I 編む heroine

サマーベストを編もうと一念発起

後悔先に立たずとはこの事か

不器用者がすることでは無かった

編めば編むほど目数が増えては減り減っては増える

編めば編むほど裏と表を編み間違え

編めば編むほど目の大きさは揃わず、ラインは乱れ蛇行する

編んでは解き解いては編む

糸は痛み、捻りも緩みもはや単なる糸の集合体だ

まるで、編み目の一つ一つに魔物が住みつき、
どう間違えさせるかと、罠を仕掛けている様にさえ感じる

魔物の罠に陥り彼らの嘲笑う声が聞こえる

毎年、春に編み始め秋には挫折

いったい何年目に入ったのだろう

そしてまた、今年も棒針と糸を手に魔物との終わりなき戦いに挑むのだ！
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本心は終わりたい・・・