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「ごめん、ごめん、ごめん。痛かったね。間違えた、間違えた」  樹の頬をさすりながら猛省する。そして――私は赤旗を上げた。   「何でそんなこと私に話すの? それが大切な話?」 「沙織さんには僕の全てを知ってほしかったんだ」 「全てを?」  何言ってんだ、コイツ。私たちは時々、こうやって時々店で飲むだけの関係だ。体を重ねたわけじゃない。一緒に暮らしているわけでもない。
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