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樹の病室にはすぐに案内してもらえた。救急隊員が、待ち合わせの女性が直に来ると思いますと病院側に伝えてくれていたからだ。
樹は――意識があった。ベッドに横たえられ、点滴はしていたものの、人工呼吸器などはつけられてはいない。樹と目が合う。
「心配した」
ホッとしたのか、深くにも私はその場にへたり込んでしまった。
「ありがとう。大丈夫だから」
立ち上がろうとベッドのヘッドボードに手をかける。ちょうどそこに患者の個人情報が記された札があった。氏名、年齢、血液型。自然とその札に目に入った。そして私は目を見開いた。
「あなた……」
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