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病室で、札に記された名前が違うことに私が気づいて問いただした時、兄が憎かったんだと樹の一つ年下の弟――律は言った。兄は姉を奪った。僕はひとりぼっちになってしまったと。両親は当の昔に三兄弟に見切りをつけ、どこかに行ってしまっていたこともその場で聞いた。律は孤独だったのだ。
とはいえ私との出会いは本当に単なる偶然らしい。
たまたまラーメン屋に入り、声をかけられた。憎き兄の名前を口にし、バスケ部だと名乗った時点で、高校時代の兄に知り合いだと察するのは容易だった。
そこで否定せず、樹のフリをし続けたのは、一人でも多く、樹を憎む存在がいてほしい思ったから。
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