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 樹と再会したのはつい半月ほど前で、私はもうすぐ三十歳になろうとしていた。  その日、職場の同僚数人と飲んでいた。終電間近の時間になり、お疲れ様と手を振り、解散する。私は徒歩圏内で自宅に帰れる場所にいたので焦る必要もなく、そればかりか、どうしてもシメのラーメンを諦めることができず、徒歩十分くらいにある行きつけのラーメン屋に一人で入った。  お気に入りのチャーシュー入りの味噌ラーメンを頼み、待つ間、スマホの画面に視線を落とす。何気なく隣に目を向けたのは、視線が向けられたような気がしたからだ。
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