SNSの精

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 ある夜、自分の部屋でなんとなくスマホをいじっていると、突然ポンッと音がして、中からバッタみたいな虫が出てきた。 「な、何だおまえはっ」 「私はSNSの精です。元は送られたメッセージの一つだったのですが、ネットワークエラーでうまく送信されず、出口がないままSNS界をさ迷っていたところだったのです。このままだと永久にさ迷い続けるところでしたが、偶然あなたのスマホに受信されて、外に出ることができました。ありがとうございます。あなたに何か、お礼をしましょう」 「なに、SNS界。そんなものがあるのか」 「そうです。SNSでメッセージを送信すると、私のようなSNSの精が生まれて、相手にメッセージを運ぶのです」 「うーむ、そうだったのか。知らなかった。しかし精などというと、もっとかわいらしい妖精のようなものかという気がするが、そんなことはないんだなぁ」 「余計なお世話です。さあ、どうしますか?」 「お礼って、何をしてくれるんだ?」 「誰かと誰かのSNSのやり取りを、それを司る大妖精に頼んで、覗き見ることができます」  
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