たぶん、こっち

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 よせば良いのに、真木に聞いてしまった。 「お前、オトしたい女性とはどうなったんだ?」と。   「お、興味ある? そうだな、あまりガッついてもダメだからね、ゆっくりゆっくり……」 「そんなことを言ってると、知らぬ間に誰かのものになってしまうんじゃないか」  と、少しからかって言った。   「……ま、ダメなときゃ、何してもダメだからな」    最もらしくそう言った真木に意外に思い、何か変わったのかと顔を伺う様に見た。   「出来ることは、全部やるけどな。俺はベストを尽くす!」    ……いや、やっぱり意外でも何でもなかったな。その女性との進展はまだないってことか。   「ちょっとしたこと、なんだけどな」  俺から聞いてしまった手前、こいつの話をちゃんと聞くしかないのかと、真木へ体を向け、形ばかりは聞く姿勢を取った。    それに真木は気を良くしたのか「お」と、小さく言って眉を上げる。   「よくあるだろう、失恋した時に慰めたやつとくっつくとか」 「まあ、な」 「精神状態が正常でない時は狙い目なんだよな」 「ああ、弱っている時につけこむようなのな」    実際あるかは知らないが、恋愛相談などは王道と言われるシチュエーションだろうか。            
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