たぶん、こっち

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*   この男との出会いは、同じ部署に配属された日からだ。  事に意欲的でその瞳は5年経っても輝きを保ったまま。      真木(まぎ)克己(かつみ)  同僚という枠を平気で越えてくる、この男に 良くも悪くも、社内では「いつも一緒ね」などと言われるほどに懐かれていた。  俺とは仕事以外においてな男だった。    本人も自覚する限り、そこそこのイケメン。だからこそ、そこそこの部分は雰囲気でカバーし、社内外でも目立つイケメンのポジションを確立している。  スーツ、髪型、小物、行動、そんなのをふんだんに使って。  本人が言うには“後天性のイケメン”だそうだ、努力の結晶だとか、そんな事を言っていた。    な真木はいつも自分なりに分析し、実行し、結果を生み出す。そこからまた別の案件で、それを試す。   そんな男だ。兎に角、バイタリティーに溢れている。    簡単に言ってしまうと、馬鹿。そんな男だ。   ──いつもの様に、真木が言う。    「そりゃ、男に生まれたからには……対、女だよな」   いつのもの様に、一瞥で対応。    「セクシャルマイノリティはさておき、俺にとっては……狙うべきは女。いつでも、だ」   いつもの様に、“馬鹿だ”と、短く息を吐いた。    
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