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コーヒーを飲みに来た。
だから、飲み終われば帰ればいいのだが
少し、真木の言ってた事も汲んでみようと思った。彼女がこの週末、もやもやと過ごすのだとしたら、申し訳ないような気持ちになったからだ。
つまり、彼女が自分に魅力がない、などと思わない程度にはしておこうと思った。
カップに残った最後の一口を口に入れる。うまいコーヒーだった。
顔を上げると、彼女がこちらを見ていたので
「付き合おうか」と、返事をした。
言ってから思った。少し高慢だったかと。家に呼ぶくらいなのだから、彼女の俺への好意は継続なのだろうが、返事まで随分時間を要してしまった。それなら、改めて
“付き合って”と言うべきだったか。彼女のこの俺への返事も随分と遅く感じて、待つ間に考えた。
“俺のことを好きな山内さん”は今は“他の男を好きな山内さん”に変わったりしていないかと。
山内さんが、真木の言うように全力でオトしたいが為に、唐突な告白をしてきたかどうかは分からない。最も、真木の話など半分に聞いておくが賢いってものだ。
だけど、まんざら嘘でもないと思ったのは
この時も、戸惑っているのは、俺だけのようだったからだ。告白された側のはずの俺が……俺の方が。
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