たぶん、こっち

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 そして、これもまた、いつもの様に俺がそんな対応でも構う事なく真木は喋り続けるのだ。  そして言われる。   「これだから、先天性のイケメンは」と。 「モテたいなら、黙ればどうだ。口数の多い男なんてモテないだろう」 「ケースバイケース、無口ちゃんには話しやすい男の方がいいだろ? 」    ……『無口ちゃん』てなんだよ、きもい。  結局、何言っても持論を繰り広げるわけで、面倒臭くなって、聞くに徹するのだ。話半分に時々は適当な相槌を打って。   「ああ、そうだ。俺はモテたいが、モテないわけじゃないからな。むしろ、モッテモテだ。でも何だ、女の子は全員可愛いだろ? こっちを向かせたくなるだろ? それは男に生まれた以上、本能だ。俺に至っては義務だと思っている」      ……馬鹿だ。  こいつ、絶好の馬鹿、だ。 「はあ」    貴重な休み時間において、不特定多数の女性の話を聞かされ、相槌がため息に変わった頃   「ほんと、お前は無口ちゃんだからな、つい俺が話す羽目になっちまう」    ……“無口ちゃん”て俺の事か。鳥肌が立って、腕をさすった。    だが、この真木の徹底した女好きは一瞬足りとも油断なく発揮され、感服の域だ。    すごい、マジで。  ここまで来たら気分がいい。
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