たぶん、こっち

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「営業の適当な俺たちに、真面目な彼女たちに、“ちゃんとして! ”なんて、怒られたいよね」    ……はあ、眠い。   「あのかっちりした服を乱したい」 「は!?」    何だ、こんなとこで。慌ててもう一度まわりを見渡し、ついでに目も覚めた。   「……ベッドの上では案外凄そうじゃ……」    こいつが全部言い切る前に、バチッと顔面を叩いた。   「ってぇ! 普段真面目そうな奴ほど、乱れた時の……ギャップ!? いいよねえ。上に乗りそうっつか」  真木はめげずに続けた。 「なんだ、そのAV設定(ファンタジー)もう、黙れよ」    そう言って、ここで止めた。お陰で眠気は吹き飛んだが、いい加減にして欲しいってもんだ。    とにかく、この日は飲みに行く事に決まっていた。俺はうまいビールが飲めることだけを楽しみにすることにしよう。幸い今日は、一つの案件が片付く。仕事の後のビールがうまいだろう。   「なんだよ、お前は上に乗られたくない派か……」 「黙れ、ファンタジスト」 「まあな、だいたい上に乗るのは、3回以降にしてほしいって気持ちはわかるぞ」 「仕事、しろ」    とはいえ、憎めない奴なんで、俺もいつもこうやって付き合う事になってしまうのだ。     
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