Day 43 / Helicopter Grandpa has come

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祥は熟考する。 愛するダーチャとただずっと一緒に居たい。 という、メロドラマの如き望みは、この場合、非常に浅慮と言う他はない。 国籍と職業の問題があるからだ。 ダーチャがロシアに戻った時、自分も国際NGOロシアオフィスに行ける、というのは、イノセントな希望的観測だ。土木のニーズは圧倒的に途上国の方が多い。 仮にダーチャと駆け落ちし、日本に逃げたとしても、今度はダーチャのビザ、即ち滞在許可の問題が生まれる。日本では同性カップルの結婚は法律上許されていないから、滞在期限に制約が生じる。ツーリストビザで訪日出来る上限など、一生を添い遂げるのを考えれば、あまりにも短すぎる。 日本政府によって収監されたビザ期限の切れた不法滞在者の扱いを巡っては、国際的な人権問題だ。ダーチャをそんな場所へ送るリスクを背負ってまで逃げる気は無い。 このアイデアは論外だ。 ツァーリは絶対に知っている。 ダーチャの手前、恩を売るように見せているが、ただ一緒に居たいという俺の望みを叶えれば、結果的に俺たちの自由を奪うことになり、関係は早晩潰えると。 過保護過干渉を意味するヘリコプター・ペアレント、と言う英語がある。まるで上空を飛ぶヘリコプターのように、子供を監視する姿から名付けられた俗語だ。 祥は苛立ちを隠さない。 ダーチャには悪いが 孫可愛いさで暴走しまくる エゲツない ヘリコプター爺さんだな、マジで。 ここまで来たら残された俺の望みなんて ひとつしかない。
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