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【お急ぎの方へ☆サクッとネタバレ】Episode1-A 罪なき民を猛獣に食わせ続ける父王に苦しむ王子のお話
『今宵の餌たちは狼男だった! 立場逆転で、さあ大変!』の巻。
社会に人権などの概念が浸透しておらず、身分なき者は一個の人間として扱われていなかった時代のお話。
とある国の王は、満月の晩に罪なき民を猛獣に喰わせるという宴を楽しんでいた。
そのサディスティックな宴を、王たちは安全地帯である塔のバルコニーより酒を片手に干渉するという悪趣味さ。
十五才の心優しき王子は、父王と妃である母ならびに取り巻きたちの所業に苦しみ続けていた。
そんなある日、王子は森の中で銀髪の老人に出会い、手紙のやり取りによって彼と交友を深めていく。
しかし、彼からの手紙を残虐なる父王に見つかってしまった王子。
手紙には自分を貶めることが書かれていたため、激怒した王は老人と彼の親族全員を”満月の宴”に強制出席されることに。
宴の夜。
満月の光を浴びた老人と彼の一族計八名は、ウェアウルフ(狼男)へと変化した。
ウェアウルフたちは、王たちがいる塔の壁をいとも簡単に攀じ登ってきた。
いつもの満月の夜とは、完全に立場が逆になってしまった。
実は、王子は老人たちがウェアウルフであると事前に知っており、今宵、”全てを終わらせる”ための謀をしたのだ。
さらに、王子はウェアウルフたちの力を借り、宴に終止符を打たせるだけでなく、残虐な父王と妃の母の血を引いている自分の命(ならびに血統)をも今宵で終わらせるつもりだった。
老人一人だけは、ウェアウルフに変身した後も理性を保てるも、他のウェアウルフたちは罪なき王子へも襲い掛かった。
王子の末期の苦痛を長引かせるよりはと、老人ウェアウルフは彼の首を一思いにへし折り殺害した。
塔のバルコニーに転がっている王たちを埋葬しようとする者は、臣下や民も含めて誰一人としていなかったが、王子の遺体だけはウェアウルフたちが、静かな森の奥深くに手厚く葬った。
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