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【お急ぎの方へ☆サクッとネタバレ】Episode1-B 双子の弟を身代わりにし続けて生きてきた狡い男のお話
『人面獣心男の早過ぎた埋葬! 日頃の行いは、やっぱり大事!』の巻。
とある国に、ロルフとウォルフリックという名前の超絶そっくりな双子の兄弟がいた。
彼ら二人を見分けることができ、決して間違えることがないのは存命中の彼らのお父さんだけである。
その姿かたちこそそっくりであれど、彼らは正反対の性格であった。
狡いロルフは、子どもの頃から自分がしでかした悪さの身代わりを”全て”、ウォルフリックに押し付けていた。
なぜなら、彼らの間だけに使える不思議な入れ替わりの力があったから。
ロルフが指を三回鳴らすと、ウォルフリックと”肉体ごと”入れ替わる。
つまり、ロルフが地点A、ウォルフリックが地点Bにいたと仮定すると、一瞬にしてロルフが地点Bに、ウォルフリックが地点Aにいることとなる。
しかも、この力は厄介なことに、ロルフが始点となっている。
ロルフが指を鳴らしてから丸一日経たないと、ウォルフリックは”自分と入れ替わったロルフのいる場所”に戻ることはできない。
そんなある日、ロルフは酒場で人を刺してしまう。
いつも通り、指を鳴らし、ウォルフリックを身代わりとしたロルフ。
幸運にもロルフが刺した相手は亡くならなかったため、”ウォルフリックは”絞首刑とはならなかったが、牢屋に入れられることに。
ロルフは良心の呵責に悩まされることもなく、自宅のベッドで眠っていたが超悪夢を見てしまう。
襲い掛かってくるヴァラヴォルフ(ウェアウルフ)から逃げようと、夢にもかかわらずロルフは指を鳴らす。
その夢での彼の動作と、現実の彼の動作が連動してしまい、ロルフはウォルフリックと入れ替わることに……
だが、なんと、ロルフは土の中に深く埋められた棺の中で目を覚ました!
実は、ウォルフリックは牢屋の中で急死(死因は恐らく心不全)しており、すでに埋葬されたという手紙がお父さんのところに届いていたというオチ。
翌朝。
彼らのお父さんは、ロルフのベッドに横たわる冷たいウォルフリックを発見し、”ロルフとして”火葬し埋葬。
哀れな短い一生を終えたウォルフリックに、お父さんは助けてやれなかったことを幾度も詫び続けた。
実はお父さんは、当のロルフがどこにいるのかは分かっていた。
朝の時点ではまだ間に合ったかもしれなかったが、お父さんは墓の下に生き埋めとなっているロルフを助けようはせず、見殺しにしたのだ。
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