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シードさんが城内を案内してくれるということなので、お言葉に甘える。
「…ライトさん 一つお話しておかなければならないことがあります」
なんとも深刻そうな語り口でシードさんが切り出した。
「なんでしょう」
「お気づきになられたかもしれませんが、リア様はご病気でございます」
病気 と心の中で復唱する。
僕は先程見た少女を思い返した。
雪のように白い肌
折れそうな腕
気づきはしなかったが健康体でなかったことは確かであった。
「電話でもお話した通り、姫が幼い頃に両親を同じご病気で亡くし、姫は王族の最後の命でございます」
心臓が痛い
「正直なお話、姫の命ももう長くはありません」
今にも泣きそうなシードさんを見て僕も泣きそうだった。
なんて残酷な話なんだろう。
あんな小さな少女は一人で
どれ程のものを抱えているんだろう。
僕には計り知れない。
「リア様はあなたの年齢と3つほどしか変わらないのですよ」
「僕が22だから彼女は…19…??!」
シードさんが切なそうに頷く。
正直とても19には見えなかった。
寝ていて全身を見た訳では無いがきっと小さいのだろう。
「城にはたくさんの使用人がいますから、皆で姫を支えるのです」
姫の病気が治ることを皆願っているのです
そう付け足してシードさんは切なそうに微笑んだ。
姫が居なくなってしまったらこの王国はどうなるのだろうか。
考えたくもない話だった。
「私はもう歳も歳ですから…明日で任務は終了します。ライトさん 姫をよろしくお願いします」
「はい」
その声が震える。
重大な任務
責任の重さからか、力強い返事はできなかった。
僕にこんな重大な責任を負うことができるのだろうか。
シードさんに代る後継者になれるだろうか。
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