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その夜 僕は姫に呼び出された。
城の入口から10見送った左側のドアをノックする。
コンコン
「姫、ライトです」
ただならぬ緊張感が僕を追い込む。
「どうぞ」
耳を済まさないと聞き逃してしまいそうな
そんな小さな声が届いてドアを開く。
まるで今負っている責任のように重いドアだった。
中に入り、リア様のベッド横の椅子に座る。
病室と何ら変わりはない気がした。
「この城はどう?」
か細い声が僕に問う。
「城全体がリア様をお守りしているようです」
「ふふ そう返ってくるとは思わなかったわ」
姫がくしゃっと笑った
僕の心臓が鳴った
「私の顔になにかついてる?」
きっと見つめすぎたのだろう
不思議そうに僕を覗き込んでくる。
なんだか姫の表情一つ一つが愛おしくて儚くて、その全てを包みたい。そう思った。
「姫が可愛らしくて、つい」
正直に答えると、その雪のように白い肌をピンク色に染め
なによそれ と微笑んだ。
きっとこの時だろう
姫に恋をしたのは。
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