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「シードに色々聞いたと思うけれど…私は先が長くないの」
リア様は窓の外を眺めながら小さく小さく零した。
こんな話の時でさえ横顔が綺麗で
ずっと眺めていたいと思った。
「…お聞きしました」
「19歳の誕生日にね、余命半年と言われたの」
笑っちゃうでしょ と少し微笑む姫。
半年
そう心の中で復唱する
笑えない
笑うわけない
「でももっと長く生きるの」
それは強い眼差しだった
蚊の鳴くような小さな声にも確かに力強さがあった。
この子ならきっと本当に生きることが出来る
そう感じさせる瞳だった。
「ねえライト」
「なんでしょう」
「手を握って」
望みの通り姫の小さくて白い手を握る
それは雪のように冷たかった。
「あったかい」
嬉しそうに目を閉じて
姫はそのまま眠りについた。
僕はこの手を離すことが出来なかった
離せばなくなってしまいそうで
怖かった。
たった一日で
たった数時間で
彼女が愛おしくてたまらなくなってしまった。
何よりその笑顔が眩しくて儚くて
守りたいと思った。
命をかけて守ると
姫の手に誓った
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