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「じゃあ何すか」
「普通に重い」
「重い?」
「重いよ!お前どんだけ筋肉つけたんだ」
啓斗がゆっくり体を起こして悠介から離れると、胸の辺りにぽっかりと穴が開いたみたいにすーっと冷たい空気が入り込んだ。
「めちゃめちゃ筋トレしましたからね」
目尻に涙をつけたまま満面の笑みを浮かべる啓斗。睫毛がキラッと眩しい。
悠介はソファーに横たわったまま尋ねる。
「一部?二部?」
「二部です」
「二部かあ……めでたいのに変わりはないけどな」
「もともと受かれば何でもよかったんで、贅沢言わないですよ」
「だな」
悠介は久しぶりに穏やかな気持ちでソファーに沈んだ。
「そうそう、すぐ引っ越さなきゃいけません」
「やっぱそうか」
「はい、岩手のチームなんですよ」
「……岩手?」
「はい、岩手」
目の前が真っ白になる。悠介の胸に空いた穴がいつの間にか肥大化し、もうすぐ悠介自身を呑み込めるほどの大きさになっていた。
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