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9.出立
日曜日だというのに特に予定もなく――いや、わざと入れなかったともいえるが――じっと待っているだけというのも辛いもので啓斗がよく寝ているソファーにころんと横になる。
今朝起きたときすでに啓斗はいなかった。早起きしてランニングしてから行くと言っていたので、そうしたのだと思う。
当日だけ早起きしても意味なくないか、と提案したところ、どうせ集中して寝れないからという返事が返ってきて、なるほどと思った。確かに眠りたくても緊張で眠れないかもしれない。それなら早起きもいいかと納得する。
もともと朝が遅いというほど遅くもない。悠介が会社に出た後くらいにもそもそと起き出しているようだったので、早起きといっても、無理をしているというほどではないかもしれない。
もし啓斗が昼すぎに帰ってきたならば、その時点でトライアウトに落ちたということだから、と本人に宣言された。午前中に基礎的な運動能力の試験があり、それをパスしたものだけが午後の試験の参加資格を得ることができるらしい。
もう午後三時だったが何の連絡もない。無事に午前の部をパスして午後の部に参加しているのだろうと確信に近い気持ちで待つ。
それからは睡魔に襲われ、ソファーに横たわったまま眠ってしまった。
夢を見た。前に付き合っていた彼氏が部屋を出て行くのを見守る悠介。女性と結婚するというので、特に引き止めもしなかった。このマンションの前に住んでいた家だったが、見送っていたのは不思議とこの家の玄関そのものだった。
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