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 巧たち兄弟の世話をするために、おばあちゃんは隣の家から毎日来てくれる。  おばあちゃんと三人で夜ごはんを食べながら、巧は幼稚園での話をした。 「でもね、サクラコ先生は、ゲームはいいのよ、って言ったの」 「ふうん? どうして?」 「たっくんもわかんない」  巧の兄で、小学一年生の(かなで)は、ふしぎだなあ、と思う。  奏はどちらかというと、サキちゃんと性格が似ている。  取り合いするくらいなら、ゆずってしまうほうが楽だと思うところがある。  だからふしぎなのだ。  どうして本気で取り合いをしたらおこられるのに、ゲームなら取り合ってもいいんだろう。  どうして学校や幼稚園って、取り合いするゲームを教えたりするんだろう。  奏はそれを、おばあちゃんに聞いてみた。  おばあちゃんは、困った顔をするばっかりだ。  そうして、 「ゲームはゲームだから、いいのよ」  とだけ言った。 「奏は、本当に理屈っぽいね」とも。  まじめに()いた奏は、少し悲しかったけど、おばあちゃんはいつもそんなふうにしか奏のことを思っていないみたいだから、仕方がない。  そして、 「早く、もっと食べなさい」  と、またしかられた。  奏は、弟の巧より、ずっと少食で、食べるのもおそいのだ。
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