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 寝室には、大きいベッドが二つある。  大人が二人寝てもまだ広いくらいのベッドが、二つくっつけて並べてある。  そのひとつに、三人でかたまって寝転ぶ。  お父さんは、仕事から帰ってきた服のままだ。  お父さんを真ん中に、三人で川の字みたいになって寝る。  真ん中が長い、変な川の字になる。  そうして真ん中のお父さんが、本をひらいて読み始める。  巧は、本のほうへ身を乗り出したまま、数ページも進まないうちにすやすや寝息を立てている。  それを、お父さんは、そうっと仰向けに寝かせ直して、きれいにお布団をかけてあげる。巧はぐっすり眠っていて、気づきもしない。 「あのね、お父さん」  奏は、さっきおばあちゃんに尋ねたことを、ひそひそ声で、お父さんにも尋ねてみた。  どうしてゲームなら取り合いしてもいいのか、という話だ。  お父さんは、「うーん」と言って悩む。  そして、本をぱたんと閉じて、奏のほうに、体ごと向き直った。  それだけで、奏はうれしい。  まともに相手をしてもらえるってことだから。
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