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「どうしてだろうなあ」  と、お父さんは、真剣に考えてくれる。 「やっぱり、取り合いや競争って  生活の中で、なくならないものだからかなあ。  どうしても、何かを取り合わなくちゃならないときもあるんだよ。  だからゲームは練習なんじゃないかな。  そういうときの度胸もつけないとね」 「でもね」  奏は思い切って言ってみた。 「そういうときに、取り合いしなくていい練習になるゲームを  すればいいんじゃないのかなあ」  すると、お父さんは、奏の目を見て、 「そうだねえ。お父さんにも、なんでだかよくわからないや」  と、照れくさそうにつぶやき、 「かなちゃんは、取り合いするの、好きじゃないのかな?」  と、ちょっと微笑んだ。  そう訊かれて、奏はなぜか、急に涙が出る。  お父さんは、びっくりした表情(かお)をしたけど、黙って奏の背中を抱き寄せて、ぽん、ぽん、とゆっくり優しくたたいてくれる。  それからしばらくして、こう(たず)ねた。
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