雨の日の通り魔

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「亜希、ぼうっと外を眺めてどうしたの?」 教室の窓際に座りながら、雨が降る校庭を眺めていた亜希は、美紗の声に振り向いた。 「あっ、何となく校庭を眺めていたの。 今日は雨が降っているなぁって」 「もしかして、雨の日の通り魔のことでも考えていたの? 大丈夫だよ。 ウチらは襲われたりしないって」 「そうかなぁ。 だといいけど……」 「だけどさ、雨の日にウチらの学校の生徒が通り魔に刺し殺される事件が二件もあったのって、本当に偶然かなぁ?」 「どういうこと?」 「雨の日に現れる通り魔は、富士高校の生徒を狙っているとか……」 「まさか……。 そんなことはないと思うよ。 でも、怖いよね」 「早く犯人が捕まればいいのにね。 私ね、犯人って引きこもり系のおじさんだと思うんだ」 「どうして?」 「引きこもり系のおじさんがゲーム感覚で女子高生を殺していく……。 そういうのって、ありそうじゃん!」 「かもしれないね。 普通の人は通り魔になんてならないから……」 「もう亜希、そんなに暗い顔しないでよ。 それじゃ、話題を変えよう!」 美紗はそう言うと、制服のポケットに手を入れて、赤い革製のパスケースを取り出した。 「じゃーん。 これ見て。 かわいでしょ。 昨日、お父さんに買ってもらったんだぁ」 美紗はそう言うと、うれしそうに笑いながら亜希を見ていた。 美紗の両親はお金持ちで、一人娘の美紗は両親におねだりすれば何でも買ってもらえるお嬢様だ。 亜希はそんな美紗をうらやましく思っていた。
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