俺、激おこです!

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向かってきた拳を最小限の動きで避ける。そこから2発、3発と拳がくるが、全て躱すか捌いた。何発目か分からない攻撃を受け止める。モジャモジャは驚いた表情をしていた。俺はニヤッと笑うとそのまま胸倉を掴んで背負い投げを決めた。 地面は土だが念のため頭を打たないよう慎重かつ迅速に投げた。 モジャモジャは驚いた表情のまま間抜けに背中を思いっきり打った。一瞬で苦痛の表情に変わる。 痛みで動けない内に俺はモジャモジャを拘束する。 「櫻井、加賀美先輩、和谷。コイツを取調室に連れて行き、成瀬に報告。成瀬と一緒に取り調べ。白樺と笹田は俺と一緒に怪我人の搬送。特に怪我の酷い奴は優先して医務室。他は保健室に運ぶぞ。」 「「「「「!了解です。」」」」」 計算外だったが、お陰でモジャモジャを取調室に連れて行く正当な理由が出来た。なのでこれを機に色々な話を成瀬にして貰おうと思い、取調室へ連行させる。 すると遠くの方から副会長達、モジャモジャ信仰派がゾロゾロと来た。 「…羽佐間風紀委員長。これは一体どういう事ですか?」 鳴山副会長が殺気を混ぜた視線で俺を睨む。不快になった俺は不機嫌丸出しで答えた。 「どうもこうも見た通りですよ。暴れたソイツを止める為に俺直々に出てやったんです。」 あれ?初日の時に連れてた人気者の姿が無いな… まぁ、取り敢えずアイツらの対応が先か。 「羽佐間、一真はそんな事しないよ?何かの間違いじゃ無い?」 「そうだよ。ソイツらが一真を虐めて正当防衛しただけだよ!」 双子うるせぇー…。確か先に喋った方が兄の陽だったか?それにしても… 「今来たばっかなのに随分と事情を知ってますね?まぁ、仮に正当防衛だとしてもコイツは取調室行きですよ。」 「ど……て?」 今度は神楽坂先輩か。一体どれだけの人を味方につけてんだよ。面倒クセー! 「風紀はどんな騒ぎでも中立し、物事を判断する。だから喧嘩とかあった場合は両者から話を聞くんですよ。ですが、今回は過剰防衛にも程があるし、彼が起こした事件はこれが初めじゃありません。両者を止めようとした風紀にも手ぇだして、まさかタダで済むとでも思ってたんですか?」 「ッそれは…!」 コイツは確か一匹狼特待生。名前は……忘れた。 「何方にせよ、コイツは怪我させた連中に謝罪もないし、今迄呼び出しに応じなかった。それ相応の処分を覚悟しとけ。」 俺はそう言ってモジャモジャを睨む。ヒィッと顔を真っ青にした。合図を出して3人がかりで運ばせる。 「お、俺はただ襲われそうになったから…!」 「だから後で聞くって委員長言ってたでしょ?副委員長にしっかり絞られてくださいねー?」 「待って下さい!まだ話は…!」 「邪魔しないでください。目の前の怪我人放っといて無傷の仲間の心配ですか。俺には到底出来ませんよ。流石、名ばかりの副会長さんですねぇ?」 「なッ!」 「白樺、笹田!片っ端から運ぶぞ!」 「「はい!」」 怒りで顔を真っ赤にした副会長と双子を尻目に怪我人を運んだ。騒ぎを聞きつけた先生達も協力してくれて、最終的には全員を運び込むことができた。だが、殆どの人が重傷。中には全治3ヶ月、後遺症が残る可能性がある猛者もいた。 これが正当防衛?笑わせんなッ! 俺と一緒に作業をしていた2人は俺の顔を見て青ざめていたなんて知らなかった。 この時、羽佐間楓を怒らせてはいけないという暗黙の了解ができた事を、俺は知らない。 風紀室に入ると、取調室の入口から叫び声の様なものが聞こえてきた。声からしてあのモジャモジャが騒いでいるのだろう。 「なんで謝んなくちゃいけないんだよ!被害者は俺だろ!何度も言ってんじゃんか!」 ……反省の色はゼロみたいだ。 俺はドアを開けて中に入る。するとモジャモジャ以外驚いた表情で俺を見た。モジャモジャは俺を睨むが、司が本気で怒った時に比べたら屁でもない。 「羽佐間!もう終わったんですか?」 「先生が協力してくれた。あと一般生徒も。後でお礼の品持ってかねぇと。」 「分かりました。手配しておきます。」 「いや、今やってくれ。選手交代だ。」 そう言った瞬間、成瀬の顔が何故か引き攣った。 「…ボソまさか羽佐間が?」 「何か言ったか?」 「いいえ…では、私は抜けます。」 (あの拷も…取り調べを行うとは…このモジャモジャ、終わりましたね。) 成瀬は心の中で合掌していた。 成瀬が出て行った事を確認すると、俺は対面に座り、ニコッと笑った。モジャモジャはさっきまでの威勢は何処へやら、恐怖で顔を歪ませていた。 「さて、経緯を聞こうか?」 思いの外、ペラペラと喋ってくれました☆
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